時計台ガイド ~時計台を守り伝える~

★時計機械の保守

1881(明治14)年に時計(日本で24番目)がつけられてから、錘を吊るすワイヤー、欠けた歯車の歯一枚とネジ数本を取り替えた以外は、当初の機械が正確に時を刻み毎時鐘を鳴らし、札幌市民に時を告げています。130年以上前のハワード社の塔時計が当時の姿のままで動いているのは、世界的にもあまり例がありません。

このように時計が正確に動いているのは、大切に守る人がいるからです。

  • 井上 清さん
    【井上 清さん】
  • 井上 和雄さん
    【井上 和雄さん】

1933(昭和8)年井上清さんが定期的に時計の保守を始める前に、誰が時計の保守をしていたか記録にはありません。

1898(明治32)年ころの農学校生徒の青春群像を描いた有島武郎の『星座』には、鐘の音のことが書かれ、高階哲夫は時計台の鐘の音を聞いたのがきっかけで、1922(大正11)年「時計台の鐘」を作詞・作曲をしていますので、このころは時計が動いていたようです。

しかし、井上清さんが時計の保守をはじめたときは、機械が錆付いていたということで、昭和の始めには時計の止まっていた期間があったようです。

時計の保守は井上清さんから息子の和雄さん(平成26年3月引退)に引き継がれ、約80年間にわたって続けられています。昔は時計が遅れていて、札幌駅発の汽車に遅れたとの話もありましが、井上さんが保守をするようになってからは正確に動き続け地震・雪害以外で時計が止まったことはありませんでした。

現在は後継者が受け継ぎ、今後も時計は動き、鐘を鳴らし続けます。

★時計機械の日々の保守

時計台の時計は地震や風雪で止まることはあっても故障で止まったり、大きく時刻が進んだり遅れたりすることはありません。それは精度管理にも注意をはらい、日々の保守作業が念入りに行われているからです。

時計保守で最も大切なことはおもりの巻上げ作業です。万が一おもりが下がりきってしまうと時計機械が止まりますので週に2回必ず巻上げます。定期的におもりを巻上げる作業は大変なので、世界の塔時計の多くが電動巻上げ装置に変えられてしまいました。

おもりの巻上げはハンドルで行います。運針用は56回、打鐘用は125回巻上げ、体力を必要とします。

1針を動かす運針用と鐘を打つ打鐘用のおもりがあります。運針用は1辺34cm、深さ62cmの木箱に小石を入れ50kgの重さにしています。打鐘用は48.5cm×36cm、深さ118cmの木箱に玉石を入れ150kgの重さにしています。おもりの石は1881(明治14)年に豊平川から持ってきた石を今でも大切に使っています。

時計機械は油が切れたり、ほこりがついたりすると摩擦ですりへってしまいますので注油したり、ほこりを取り除くのも時計を正確に動かすために大切な作業です。

★建物を守り伝える

時計台も今までに6回の改修や修理をしています。

1949(昭和24)年までの改修は、時計台を市民のために使用する目的で改修しています。傷んでいるところは当然修理をしますが、敷地内の管理人住宅の新設や、2階に天井をつけ、外の明かりを入れるため1、2階北側の窓をすべて引き違い連窓とし、暖房のため煙突を3本新設して、創建当初の姿を変えて使いやすい状態にする目的で行なわれました。

1966(昭和41)年まで市立図書館として多くの市民に親しまれ、今でも時計台といえば図書館のころを思い出す市民が多くいます。

1967(昭和42)年以降の修理は、時計台を出来るだけ元の姿に復原し長く保存をする目的で行われました。しかし、創建当時の姿にすると時計塔や東階段室を取り去り、外観の色も市民が全く目にしたことがない色になります。そこで市民の一番イメージに残っている状態に復元しています。特に、1995(平成7)年からの修復では、工事中に阪神・淡路大震災が発生したことから、震度6程度の地震に対しても安全なように補強をしました。

東日本大震災の際に時計は止まりましたが、保守職員により正常に戻され、時計、建物に異常がありませんでした。

【補強構造材の様子】

震度6程度の地震に堪えられるように構造材で補強しました。

文化財の建物の修復は、建てられた当時の材料をできるだけ残すようにします。一部分が腐っている板や柱などは、腐っている部分のみを取り去り、そこに新しい木材を継ぎ足して使います。

  • 【野地板】

    腐っている部分を取り替えモザイク模様状態の野地板。
  • 【ペンキのこすりだし】

    外壁のペンキをヤスリでこすりだし、どんな色のペンキが何回くらい塗り替えられたか調べます。

平成の大改修で時計台は、限りなく昔の姿に戻り地震にも安全な建物となりました。

札幌市時計台へは

★所在地
札幌市中央区北1条西2丁目
TEL:011-231-0838
FAX:011-231-0804
★交通機関
JR札幌駅南口徒歩10分
市営地下鉄南北線、東西線、東豊線大通駅下車市役所側出口徒歩5分
★開館時間
8時45分~17時10分
(入館は17時まで)
★休館日
第4月曜日
(第4月曜日が祝日の場合は翌日)
年末年始
(12月29日~1月3日)